ラブフェロモン講座でコテンコテンに打ちのめされたボクは、悔し紛れに師匠を試そうとした。
「先生、武術やってらっしゃるんですよね?」
「はい、やってますよ。」
「鉄山〇、出来ますか」
「はい。」
「すげー!やってみて下さい!」
「いや、ココじゃ危ないですよ。」
「大丈夫です、頑丈なんで、ボク」
「じゃあ、ちょっとだけですよ」
「思いっきりでも大丈夫ですって!」
・・・馬鹿ですねぇ。今書いていて猛烈に恥ずかしい。
ホント無知って恐ろしい。良い子のみんな、武術をやっている人を試そうとしちゃダメだぞ。お兄さんとの約束だ!
(〇山靠というのは某武術の技術の一つです。バーチャファイターってゲームでボクは知りました。凄い威力です。)
では、こっちに来て下さい、と2間続きの大下さんのリビングルームの端にボクを連れて行った師匠。
「じゃあ、軽くいきますんで、ちゃんと踏ん張ってくださいね・・」
なぜか恐る恐るといった感じの師匠。
「はいどうぞ!」
何も考えず、適当に身構えた僕。
すっと師匠の身体が沈んだかと思った次の瞬間。
車にはねられたような感触と共に空を飛んでいた。(実感 )
当時のボクは85kgあった。
それをやすやすと2mは飛ばした。
滞空時間は10秒くらいに感じた。
実際は1秒も飛んでないが。
手加減してこれって、本気なら・・
ゾッとした。それ以上に感動した。漫画やゲームの世界がココにいた!!
「・・・同じだ・・ナナハンブチかまされた時と同じだ・・・
だったらイケるぜ!!」の、世界の人だ!!(違
この人、ホンモンだ!めっちゃ面白い!
そんななんだか判らない興奮に浸った事でボクのちっちゃなプライドは霧散して、師匠の開催する運動講座、「ココロ・鍛錬道場」に通うことを決めた。
師匠の下に通い始めて何年か後、痩せたボクは前回の冒頭に書いた衝撃的な光景を目にすることになった。