師匠が開催しているココロ・鍛錬道場に参加するようになり、面白いように体重が減り始め、1年経った頃に気がつけば14kg減っていた。
生活面でのアドバイスは一つだけしてもらって、通う道場は月に一回。
スゴイなぁと思い、何より最初の見立て通りの極ヲタクだった師匠とは話が合い、ふしぎ整体のお客としても3ヶ月に一回ぐらい通っていた。
なんだかよく判らないけど、気がつくと寝てる。
肩こりとか、腰痛が、気がつくと気にならなくなっている。
単車で行くと帰る時に運転が上手くなっている。このお陰で一度バイクで死に掛けたのだが割愛。
でも他の整体にかかったことが無いボクは、整体っていうのは大体そんなもんなんだろうなぁ、とも思っていた。
実際、その場でスッキリすることが無い事もあった。
なんとなく、もうちょっとやって欲しかったなぁ、と思うこともあった。
1時間おしゃべりして体触れてもらうの15分くらいの時もあった。
それは2日後にスッキリする身体にしてもらっていたことに、気づけなかっただけなのだが。
そんなふしぎ体験を繰り返すうちに友人が名古屋に来た。
病気の為、当時足を引きずるように歩いていた彼。
師匠に診てもらうことを提案して、面白そうと彼も承諾した。
師匠にお願いして、施術時間は20分くらい。
施術部屋から出た彼は、足を引きずらずに歩いて見せた。
「何年かぶりに階段を普通に降りたよ」
嬉しそうに言った彼の顔は今でも覚えている。
衝撃だった。
病院で薬をもらってなんとか、とか、接骨院で揉んでもらって電気を流してなんとか、とか身体の不調に対してはその程度の対処しかしてこなかったボク。
ふしぎ整体のお客として通ってはいたものの、こんな凄まじい技術だったんだ!凄すぎる!
吹き飛ばされた時以上に感動した。痺れた、憧れた。
いちろーさんの言葉にショックを受け、焦燥感と飢餓感でいっぱいだったボクは、その光景を思い出した。
武器、あった。
高単価、高利益率。在庫なし。ランニングコストは施術部屋の代金くらい。完璧だ。隙が無い。
参入障壁も高い(当時はクイックマッサージが乱立する前でした)。
価格競争に巻き込まれにくい。
いろんなセミナーで学んで知っていた「選ぶべき商材」として申し分ないと思った。
この武器、欲しい。たまらなく欲しい。
それはロトの剣かエクスカリバーか。
この剣さえ装備できれば無敵になれる!
ボクでも勇者になれるかもしれない!
そう思い、勇者を遠くから見るだけだった町人Aのボクは師匠に頼み込んだ。
「ボクにふしぎ整体を教えてください。」
帰ってきた師匠からの応えは当時のボクでは理解できなかった。